日本工業規格JIS1〜3級冷間成形加工/許容差(公差)

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専門用語解説 用語・簡単解説

設計の際に厳しいバネの許容差を指示することで優良なものが得られると誤解しがちであるが、機能、取付状態を考え肝心な部分のみ必要最小限にして性能の維持とともに、極力無駄を省くよう心がけるべきである。
社団法人日本ばね工業会 技術講習会テキストより抜粋

以下の掲載について%が最小を下回る時は最小値を優先する


ばねの公差についてのアドバイス

設計者や製作依頼をする側にとってはなるべくバラツキの極力無い製品を望むのは当然です、但しバラツキと言うとマイナスのイメージですが十分に使用できる範囲というものがあればその範囲内の公差を指示するのが良いと思います、少なからずとも範囲はあるものです、もちろん厳しく管理された製品でなくてはならないのなら厳しい指示を出さなくてはいけません。例えば荷重の指定が±10%であれば十分に使用できるのならそれを±5%以下などにする必要はありません、抜き取り検査の数量が多くなったりほぼ全数検査になってしまうと生産性に乏しくなり又コストにも影響がでてしまいます。今の日本のスプリング製造会社のほとんどは、条件はありますが1級程度には対応できるでしょう、その条件とは、寸法だけを重視なら1級程度は対応できるでしょうが寸法も又特性も重視となると設計者が計算で求めた値と実際の値に開きが大きいと調整が付かず加工困難になってしまいます、従って特性重視なら寸法箇所に参考値が必要となり公差は指定しません。

問題となった実例

線径1.0ミリ、コイル内径4ミリ、総巻き4、長さ9.5ミリ、研削処理有りという仕様でコイルに+0.1mmだけ付いた圧縮ばねの注文がありました。マイクロメータ使用で内径4.08で研削処理を行い納入したところシャフトが通らないものが出ていると連絡がありました、聞くとシャフトは3.95ミリです、研削の際のバリが原因と判断し結果バリ取りをしなければなりませんでした。後に設計者と話しをすると外径にはもっと余裕があるという事なので変更してもらい以後問題ない様になりました。この実例のようにただ厳しい公差を指定するとトラブルが起こってしまう場合があります。


冷間成形圧縮コイルばねの許容差 JIS B 2707に規定(押しバネ)

自由高さ

特性の指定がある時は、自由高、総巻き数は参考値とし、
特性の指定がない場合は総巻き数は±1/4巻を許容差とする。下の寸法図のLが自由高。
圧縮sp寸法図 push

D/d 1級±% 最小±mm 2級±% 最小±mm 3級±% 最小±mm
4以上8以下  1.0    0.2  2.0    0.5  3.0    0.7
8を超え15以下  1.5    0.5  3.0    0.7  4.0    0.8
15超え22以下  2.0    0.6  4.0    0.8  6.0    1.0

冷間成形引張りコイルばね 許容差 JIS B 2708に規定(引きバネ)

自由長

特性の指定がある時は自由長(フック間の内寸長)は参考とする。
総巻数も原則として参考とし、フック対向角は当事者間の協定によるが
180度(平行)か90度がほとんどでこれ以外のフック対向角は通常は製作や管理困難のため指定はされない。下の寸法図のLが自由長。
引張りsp寸法図 pull

D/d 1級±% 最小±mm 2級±% 最小±mm 3級±% 最小±mm
4以上8以下  1.0    0.2  2.0    0.5  3.0    0.6
8超え15以下  1.5    0.6  3.0    0.7  4.0    0.8

平均径/圧縮、引張り共通

D/d 1級±% 最小±mm 2級±% 最小±mm 3級±% 最小±mm
4以上8以下  1.0  0.15  1.5  0.20  2.5  0.40
8超え15以下  1.5  0.2  2.0  0.3  3.0  0.5
15超え22以下  2.0  0.3  3.0  0.5  4.0  0.7

特性 荷重(N)

Na 1級 ± % 2級 ± % 3級 ± %
Na=3を超え   10以下      5      10      15
Na=10を    超える場合      4      8      12

特性 バネ定数/圧縮、引張り共通

Na 1級 ±% 2級 ±% 3級 ±%
Na=3を超え10以下    5    10    15
Na=10を超える場合    4    8    12

ねじりコイルばねの許容差 JIS B 2709に規定(トーション スプリング、キックバネ、戻りばね)

アーム(腕)の自由角度

特性がある場合アームの自由角度は参考値とする。
トーション スプリングの寸法図

巻き数 1級± ° 2級± ° 3級± °
3以下    8    10    15
3超え10以下    10    15    20
10超え20以下    15    20    30
20超え30以下    20    30    40

平均径

D/d 1級±% 最小±mm 2級±% 最小±mm 3級±% 最小±mm
4以上8以下  1.0    0.15  1.5    0.2  2.5    0.4
8以上15以下  1.5    0.2  2.0    0.3  3.0    0.5

アーム長

d 1級±% 最小±mm 2級±% 最小±mm 3級±% 最小±mm
0.1以上0.5以下  2     0.3  3     0.5  4     1.0
0.5を超え1以下  2     0.5  3     0.7  4     1.5
1を超え2以下  2     0.7  3     1.0  4     2.0
2を超え4以下  2     1.0  3     1.5  4     3.0
4をこえる時  2     1.5  3     2.0  4     4.0

その他

ピッチの不同

等ピッチにおいては全たわみ量の80%を圧縮して、両端部を除いて巻き部が接してはならない。

密着高

密着高は原則として指示しない、但し両端3/4研削処理したものについて必要なときは総巻き数×dmax  dmax=ばねの線径dの許容差の最大値をとった直径


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