バネの研削処理と座巻き

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座はコイル両端のばねとして作用しない巻部分で研削処理はこの部に対しておこなわれる


バネの座とは

押しバネの両端末の平らに見える部分で、バネとして作用しない部分を座または座巻きといい、両方の端末に各1ずつ有る事が多いので一般的には合計1+1で2巻となります。身のまわりでよく見かける押しバネの大多数がこの両端末に1ずつあるタイプです。最初のコイル部と最後のコイル部が次の(前の)コイル部と接してなく研削処理が行なわれた部分が3/4の場合は両端各0.75で0.75+0.75の合計1.5巻となります。例えば座巻数がそれぞれ各2という指定の場合は、両端に2巻の密着部が存在する形状であると判断されます。特に製作図面などで指示していなくても巻数の指定で確認が出来る事があり、その指定で例えば総巻きが10で有効が8という指示であれば、これはまず常識的に各1まきずつ有るという判断がされます、通常は総巻き数−有効巻数となる為。
例えば、総巻が10で有効が6と指定の場合はどのような形状なのか、両端各2ずつなのか、片方3で片方1なのかの指示がなくてはならず、一般的には両端2ずつあると判断をします、言葉の問題になってしまうのですが、座が2以上の時は、各何巻きと指定しないと、もしかすると片側1と片側3とも考えられます、このような設計の場合は製造者に正確な情報を出してください。両端に各1でなく複数の指定が成されるのは有効部を狭く(小さく)高サだけを複数にして稼ぎ少ない圧縮量で高い荷重を得たい時に指定することが多いです。

ばねの座 上の写真で2〜7が有効巻部です両端の1と9が座で以下に解説の処理は通常この1と9の両端部に対して行われる工程です、右の写真は両端に座が2ずつ有効巻部が4という形状です。

バネの研削処理

バネの研削処理とは、両端末の座巻き部分を平たく研削を行うことで、エンドグラインダーという専用機で両端を同時に研磨してしまいますが寸法外や少数の際は卓上グラインダーを使用する事も有ります。対象の種類は圧縮(押し)ばねでクローズドエンドの端末形状がほとんど、細い材料では難しくなってしまいますが稀にオープンエンド形状で指示がでる場合もあり、これを施すと品質上のばらつきが少なくなり密着高(長さ)を低くすることができます、又相手部品の損傷を防ぐ目的でも行われます。設計者からの指示や図面に指定があればおこないますが材料径が0.5mm以下に対しては形状の変形を防ぐためや相手部品への影響も少ないので通常はしません。また、ばね指数、コイル平均径/線の値が13を超える場合にも安定性に問題が無く行わないことが多く研磨も困難になってしまう事もあります、線が太くコイル径が細い形状(平均径/線の値が小)や細長い形状(縦横比、長さ/コイル径の値が大)は、座屈現象(変形)を防ぐ為に横ずれ防止策として線から面に変え、更に傾きが大きいのを行う事で小さくします。

押しばね 研削処理写真の左が実施、右は不実施のスプリングです。一般的に先端の厚さが線径の1/4程度で細い線の場合や、強い衝撃を受ける場合にはもっと厚くする必要があります。これを行うことで両端末の部分が線から面になり接地面が多少でも広くなって傾きも少なくでき圧縮量もクローズドエンドの端末形状のバネは研削処理をすると約線1本分増えることになります、同じ全長で行われたばねとされていないのでは全圧縮量が若干行った方が多くなります。取り付く環境が非常に厳しい時、干渉を防ぐためにこの後更に内、外径に発生したバリを取る面取りの工程を行う事もある。当然ながら、これを行うと製作工程が増え価格も変わるので特に細い材料使用や指数の値が大きいものは、行わなくても良いのか、また行う必要性があるのかどうかの判断がつかずの時にはスプリングの製作者(会社)とよく相談して選択するようにしてください。


他のスプリング専門用語
定数 コイル平均径と指数 たわみ  自由長、密着高 巻数 まき方向 特性 荷重
製造方法  ピッチ 熱処理/テンパー処理 初張力  座屈現象 材料 測定器具  ばね研削処理 許容差JIS
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