バネの巻径と加工難易度の目安

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コイル平均径は巻部外寸法+内寸/2で計算(設計)に必要な値、ばね指数はばねのコイル加工難易度の目安の1つ


コイル平均径 記号D mean dameter of coil

バネのコイル径を実際に測定できるところは、外寸法か内寸法ですが設計や計算には、その中心径の値が必要になります、従って図面での依頼の際は、この平均径の指定が大変に多くあって後半に解説のスプリングの巻き部成形加工難易度の一つの目安であるばね指数にも使われ全く同じ意味で同義語として他にコイル中心径とも呼ばれています。
線の中心の値の為当然ながら実際の測定はできません、計算で求める以外にこれを正確に確認する事はできません外寸法を計則しそれから線1本分を引くか、内寸+外寸/2で算出します。マイクロメータを使う事ができるのであればノギスより正確に計測が可能です、特に厳しい公差の時にはマイクロメータを使用します。上記でも述べましたように設計のときに必要でしかも実測不可な訳で製造過程には使うことはなくその際には当然外寸か内寸を使ってばねの加工が行われる訳であり、従って製作依頼の時には平均径(中心径)の指定でも良いですし又は(外、内)寸法のいずれかを±の公差を付けての指定でも全く問題有りません。
例えば、材料1ミリ、外寸が10ならば、10−1=9
材料1ミリ、内寸法が10ならば、10+1=11 それぞれのバネのコイル平均径は、9と11となる


ばね指数とは/記号c=D/d spring index

設計の際に考慮すべき重要な事項でばねのコイル平均径(D)と線の太サ(d)の比、つまりD/dの事でばねの巻き部成形加工の難易度の1つの目安になりこれが4以上、20(22)以下が推奨され更に8〜14程度が品質安定の観点から最も良いとされています。設計記号はcなのですがD/dの方を取ってなぜか指数をデイバイデイとよく言っています。4〜20(22)が望ましい数値であるが絶対にこの範囲にしなくては製作出来ないと言うわけではありません、但しこの範囲以外になると加工が困難や最悪の場合製作できない、又は品質の維持が非常に難しいことがありどうしても以外はできるだけこの範囲にするのが良い事です。巻部成形の際の材料への負荷は指数が16を超えると定数kは弱く負荷は小さく公差を大きくとる必要があって反対に4にも満たないとkが強く負荷が大変に大きく更にスプリング成形の時に 心金が細すぎるため変形状態や破損してしまう可能性もあり、製造ができない場合がありえます。細い材料でのコイリングの場合は4〜20の範囲にするのが良く、太い材料を使う場合は20倍をかなり超えても(25〜30位でも)困難なことはあまりないですがバラツキやすく厳しい精度を求める事は難しくなり、むしろ4倍に近い方が太い線使用の場合には困難な事が多々あります。4〜20の範囲内であっても両極端、特に小さい値の方の4倍は、製造が難しい、更に耐久も低くなる傾向が多くなるので出来れば避け、最も良いとされている8〜14、これが無理なら6〜15の範囲になる事が推奨されます。cが4以上であることと別項で詳しく解説しているピッチがD/2以下を満たしていないと荷重や定数を算出する基本計算式は成立しません。 自由高さ(自由長)等の日本工業規格JISのコイルばねの許容差の等級は、このばね指数によって4以上8以下、8を超え15以下、15を超え22以下というように分けられそれぞれの等級(1級〜)が決められている。 例えば、d=2ミリ、外寸が15mmならばD=15-2=13 c=D/d=13/2=6.5となる。

参考
定数とは1mmあたりの強サのこと、JIS許容差は日本工業規格に定められた許容差(公差)
荷重Pとバネ定数kを求める基本式 cが4以上、ピッチがD/2以下、有効巻き数3以上を満たす
P=G d4 δ/8 Na D3
k=P/δ=G d4/8Na D3


c=4〜20 大小の比較表

  
cが小さい cが大きい
製作困難 製作困難
4以下は非常に難しいもしくは不可 小よりは余裕、22倍超でも可能な場合も
破損の恐れ 絡みの発生
定数kの値は高い kの値は低い
傾きが大きく自立せず倒れやすい 変形しやすく巻部のバラツキが大

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